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2008年11月20日
弱揉み
今日の最終コマの授業では、マーケティングについてちょろっと話したあと、「圧」についての話をしました。
手技においての圧の強さに関しては以前のブログでも書いたのですが
⇒http://okiteru.ti-da.net/e2261805.html
基本的に筋肉というのは強く揉めば揉むほどよくほぐれるというものではなく、
逆に受けてる人が「弱っ!」っと感じるくらいの圧のほうが、実はよくほぐれると感じています。
身体にはホメオスターシスという恒常性を保つ機能があるので、
(常に一定の状態を保つ働きがあるということです)
突然の強い刺激・大きな刺激に対してはバリアが働くんですね。
強い刺激・大きな刺激というのは、常に一定の状態を保っておきたい身体の機能からすると、結構なストレスなのです。
血糖値の変化で一例を挙げると、
急激に血糖値が上がると「インスリンリバウンド(インスリンショックともいう)」という反応が起こり、
血糖値が下がりすぎてしまいます。
インスリンというのは血糖値を下げる働きをするホルモンですが、
急に血糖値が上がりすぎると身体がびっくりして、必要以上のインスリンを分泌してしまうんですね。
それで逆に低血糖状態になるんです。
特にこれが運動中に起こるとまずいので、運動中は糖濃度が高い飲み物は控えるようにした方がいいんですね。
スポーツドリンクは水で半分くらいに割った方がいいという話を聞いたことがある方もいると思いますが、
それは市販のスポーツドリンクをそのままの状態で飲んでしまうと糖濃度が高すぎてインスリンショックが起こる可能性があるということなんです。
(もちろん糖濃度はスポーツドリンクの種類によって異なります)
甘いものを食べはじめる・飲みはじめると止まらなくなるというのも、インスリンリバウンドが関係している可能性があります。
甘いものを食べる⇒血糖値が上がる⇒インスリンリバウンド⇒低血糖⇒血糖値を上げるために甘いものがほしくなる・・・
・・・話が脱線してしまいました。
水分補給やインスリンの働きについては、またの機会に詳しく。
で、何が言いたいかというと、インスリンショックの例のように、とにかく身体というのは急激な変化に弱いのです。
これはインスリンショック以外にもたくさんの例があります。(長くなるので省きます)
筋肉もそうなんですね。
強い刺激が入ってしまうと、逆にその刺激から身体を守ろうとしてしまうのです。
筋肉を強く圧迫される・押されるというのは、身体に対する攻撃と判断してもおかしくないですからね。
筋肉を緊張させてその攻撃から守ろうとするんですね。
でも、だからといって、筋肉をほぐす上でちょうどいい圧というのは、
受けている感覚からすると「弱すぎる」という印象を受ける方がほとんどです。
筋肉がこりかたまってくると、それだけ感覚も麻痺してしまうんですね。
不健康な食生活をしていると味覚が麻痺して薄味が美味しく感じなくなるのと似ている気がします。
今日の授業ではその「ほんとはちょうど良い圧」の練習をしてもらったのですが、
施術側も受ける側も最初は戸惑っていました。
「え?こんなに弱くていいんですか?」
日頃はしっかり圧を入れる練習をしてもらっているので、そう感じるのも仕方ありません。
現場に出たらしっかり圧を入れて施術が出来るというのも必要なスキルなんですよね。
いくらこっちが理想的な施術を提供しようと思っても、
お客様がそれを求めていなければ、お客様の要望に応えられなければなりません。
お客様に「強く揉んでくれ!」と言われれば、強く揉めなきゃいけないのです。サービス業ですから。
でも、今日は「ほんとはちょうど良い圧」での練習。
最初は戸惑っていた生徒さんたちも、この「ほんとはちょうど良い圧」の良さを感じてきたようでした。
最初は弱く感じるんですね。それは、筋肉がこっているからです。
でも最初は弱く感じた「ほんとはちょうど良い圧」によってコリがほぐれてくると、だんだん心地よくなってくるんです。
当たり前です。本来身体が求めている刺激の強さなんですから。
ただ弱くやればいいということではありません。
弱い圧なんですが、しっかり筋肉をとらえなきゃいけません。
この「弱い圧でしっかり筋肉をとらえる」というのが、以外と難しいんですねこれがまた。
想像以上の「丁寧さ」が必要になるんです。
強い圧を入れる手技というのは、以外と細かい動きをごまかすことが出来るんですね。
でも、弱い圧だとそれが出来ない。自然と手の動きが丁寧になり、気持ちの入った施術になってきます。
あと、弱い圧の長所としては、「施術側もリラックスできる」
強い圧を入れようとすると、どうしても施術側に力み・緊張が入ってきます。
もちろんうまく体重を使えば力みなく圧を入れることも出来るのですが、
でもより強い圧を入れようと思うと、どうしても施術側に緊張がかかるんですね。
そして、その緊張というのは、自覚のあるなしに関わらず、受けてる方に伝わるものなんです。
ですが、弱い圧だと施術側もリラックス出来ます。
そしてそのリラックスも受けてる側に伝わるのです。
力んでる人とリラックスしてる人、どっちに身体を触れられたいですか?
そして丁寧に丁寧に施術を行うので、意識が手に集中し、自然に手先に「気」が入ります。
手がどんどんポカポカ温かくなってきます。
そして「気」が入った状態の手先は、細かい筋肉のコリまで探し当てることが出来るようになります。
「弱揉み」の施術を受け終わった生徒さんたちは、揉まれた部分が温かくなった感じがするという感想でした。
そうなんですねぇ。良い手技というのは、受け終わったあとに揉まれた部分が温かくなるんです。
なので、全身を揉まれたら、全身がポカポカになるんですね。
みなさんはそういうマッサージを受けたことありますか?
受けたことがあるのなら、その施術者は一流の施術者だと思います。
この「ポカポカする感じ」は、マッサージチェアーやツボ押し棒などでは絶対再現できません。
人の手だから、「手当て」だからこそ可能なんです。
いくら「モノ」で物理的に気持ちいい刺激を入れても、絶対に人の手には勝てません。
壊れ物を扱うように丁寧に丁寧に筋肉をほぐしていくことで、その手には「気」が入り、手当ての効果は高まります。
強くガシガシ揉むのは、モノでの刺激に近づいてしまいます。
もちろん強い刺激が好きなお客様も少なからずいらっしゃるので、プロとして応えられるように強く揉める練習も必要です。
でも、それが本当にその筋肉にとって良い刺激なのかというと「?」です。
僕の経験上、良い状態の筋肉・柔らかい筋肉の持ち主で「強揉み」を好む人はいません。
強い圧をほしがる人は、固い筋肉の人です。
そして、強い圧を入れるから、余計に筋肉の感覚がマヒしてしまうのです。
本当に味覚と似ています。
ですが、同じ手技療法のプロでも、強い圧の方が施術効果が高いという考えのもと、
痛みを我慢させてまで強い圧を入れる方もいます。
その方が筋肉がほぐれるといいます。
本当でしょうか?
ある意味本当です。
僕は受ける側として痛すぎるくらいの「強揉み」をたくさん受けてきましたが、
確かに受け終わったあとは筋肉がゆるくなった感じがします。
それは何かというと、簡単に書くと「インスリンリバウド」と似たようなことが起こっているのです。
基本的に、強く揉むと、筋肉はこわばって緊張します。
緊張して緊張して、手技が終わった後に、緊張から開放されます。
緊張から開放された筋肉は、一気に緩むのです。
血糖値が高くなりすぎて、インスリンリバウンドによって急激に血糖値が下がる反応と似ています。
強く揉む手技によってほぐされたのではなく、強く揉まれて緊張した筋肉が「反動で」緩んだだけなのです。
こうやって筋肉が緩むと、結果、身体はだるくなります。
結果的に筋肉が緩んだので身体が軽くなった感じはするのですが、ぐったりする感じです。
ですが、ちょうど良い圧で丁寧に揉むと、
上に書いたように揉まれた部分が温かくなって、ふわぁっと軽くなった感じがするのです。
違いがよくわからないですか?(笑)
この感覚は受けてみないとわかりづらいかもしれません。
この「強く揉むと身体に良くない」というのは、あくまでも僕の価値観です。
人間の身体なので、正解も不正解もありません。
ただ、受けてもらえば納得してもらえる自信はあります。
ただ、間違いなく言えるのは、「中途半端な圧が一番たちが悪い」
どこを目指したいのがわからないのが、「中途半端な圧」です。
施術者がお客様に自分の価値観を押し付けすぎるのはよくないですが、
だからといってポリシーもないままお客様の要望に応えるだけというのも、
人様の身体を預かる身としては、責任感がなさすぎると思います←これも僕の価値観です。
セラピストにも十人十色の価値観があります。
そして僕は生徒さんにも自分の価値観を押し付けようという気持ちはありません。
生徒さん一人一人が自分なりの価値観を構築し、
その「想い」によって一人でも多くの人を幸せにしてほしいと願っています。
その価値観を構築する上でのヒントを提供できればと思っています。
ちょっとかっこつけた終わり方ですね(笑)
長い文章を読んでいただいてありがとうございます。
おやすみなさい。
僕はまだ体調が万全ではないくせに夜更かしして日本代表のサッカーを観ます♪
手技においての圧の強さに関しては以前のブログでも書いたのですが
⇒http://okiteru.ti-da.net/e2261805.html
基本的に筋肉というのは強く揉めば揉むほどよくほぐれるというものではなく、
逆に受けてる人が「弱っ!」っと感じるくらいの圧のほうが、実はよくほぐれると感じています。
身体にはホメオスターシスという恒常性を保つ機能があるので、
(常に一定の状態を保つ働きがあるということです)
突然の強い刺激・大きな刺激に対してはバリアが働くんですね。
強い刺激・大きな刺激というのは、常に一定の状態を保っておきたい身体の機能からすると、結構なストレスなのです。
血糖値の変化で一例を挙げると、
急激に血糖値が上がると「インスリンリバウンド(インスリンショックともいう)」という反応が起こり、
血糖値が下がりすぎてしまいます。
インスリンというのは血糖値を下げる働きをするホルモンですが、
急に血糖値が上がりすぎると身体がびっくりして、必要以上のインスリンを分泌してしまうんですね。
それで逆に低血糖状態になるんです。
特にこれが運動中に起こるとまずいので、運動中は糖濃度が高い飲み物は控えるようにした方がいいんですね。
スポーツドリンクは水で半分くらいに割った方がいいという話を聞いたことがある方もいると思いますが、
それは市販のスポーツドリンクをそのままの状態で飲んでしまうと糖濃度が高すぎてインスリンショックが起こる可能性があるということなんです。
(もちろん糖濃度はスポーツドリンクの種類によって異なります)
甘いものを食べはじめる・飲みはじめると止まらなくなるというのも、インスリンリバウンドが関係している可能性があります。
甘いものを食べる⇒血糖値が上がる⇒インスリンリバウンド⇒低血糖⇒血糖値を上げるために甘いものがほしくなる・・・
・・・話が脱線してしまいました。
水分補給やインスリンの働きについては、またの機会に詳しく。
で、何が言いたいかというと、インスリンショックの例のように、とにかく身体というのは急激な変化に弱いのです。
これはインスリンショック以外にもたくさんの例があります。(長くなるので省きます)
筋肉もそうなんですね。
強い刺激が入ってしまうと、逆にその刺激から身体を守ろうとしてしまうのです。
筋肉を強く圧迫される・押されるというのは、身体に対する攻撃と判断してもおかしくないですからね。
筋肉を緊張させてその攻撃から守ろうとするんですね。
でも、だからといって、筋肉をほぐす上でちょうどいい圧というのは、
受けている感覚からすると「弱すぎる」という印象を受ける方がほとんどです。
筋肉がこりかたまってくると、それだけ感覚も麻痺してしまうんですね。
不健康な食生活をしていると味覚が麻痺して薄味が美味しく感じなくなるのと似ている気がします。
今日の授業ではその「ほんとはちょうど良い圧」の練習をしてもらったのですが、
施術側も受ける側も最初は戸惑っていました。
「え?こんなに弱くていいんですか?」
日頃はしっかり圧を入れる練習をしてもらっているので、そう感じるのも仕方ありません。
現場に出たらしっかり圧を入れて施術が出来るというのも必要なスキルなんですよね。
いくらこっちが理想的な施術を提供しようと思っても、
お客様がそれを求めていなければ、お客様の要望に応えられなければなりません。
お客様に「強く揉んでくれ!」と言われれば、強く揉めなきゃいけないのです。サービス業ですから。
でも、今日は「ほんとはちょうど良い圧」での練習。
最初は戸惑っていた生徒さんたちも、この「ほんとはちょうど良い圧」の良さを感じてきたようでした。
最初は弱く感じるんですね。それは、筋肉がこっているからです。
でも最初は弱く感じた「ほんとはちょうど良い圧」によってコリがほぐれてくると、だんだん心地よくなってくるんです。
当たり前です。本来身体が求めている刺激の強さなんですから。
ただ弱くやればいいということではありません。
弱い圧なんですが、しっかり筋肉をとらえなきゃいけません。
この「弱い圧でしっかり筋肉をとらえる」というのが、以外と難しいんですねこれがまた。
想像以上の「丁寧さ」が必要になるんです。
強い圧を入れる手技というのは、以外と細かい動きをごまかすことが出来るんですね。
でも、弱い圧だとそれが出来ない。自然と手の動きが丁寧になり、気持ちの入った施術になってきます。
あと、弱い圧の長所としては、「施術側もリラックスできる」
強い圧を入れようとすると、どうしても施術側に力み・緊張が入ってきます。
もちろんうまく体重を使えば力みなく圧を入れることも出来るのですが、
でもより強い圧を入れようと思うと、どうしても施術側に緊張がかかるんですね。
そして、その緊張というのは、自覚のあるなしに関わらず、受けてる方に伝わるものなんです。
ですが、弱い圧だと施術側もリラックス出来ます。
そしてそのリラックスも受けてる側に伝わるのです。
力んでる人とリラックスしてる人、どっちに身体を触れられたいですか?
そして丁寧に丁寧に施術を行うので、意識が手に集中し、自然に手先に「気」が入ります。
手がどんどんポカポカ温かくなってきます。
そして「気」が入った状態の手先は、細かい筋肉のコリまで探し当てることが出来るようになります。
「弱揉み」の施術を受け終わった生徒さんたちは、揉まれた部分が温かくなった感じがするという感想でした。
そうなんですねぇ。良い手技というのは、受け終わったあとに揉まれた部分が温かくなるんです。
なので、全身を揉まれたら、全身がポカポカになるんですね。
みなさんはそういうマッサージを受けたことありますか?
受けたことがあるのなら、その施術者は一流の施術者だと思います。
この「ポカポカする感じ」は、マッサージチェアーやツボ押し棒などでは絶対再現できません。
人の手だから、「手当て」だからこそ可能なんです。
いくら「モノ」で物理的に気持ちいい刺激を入れても、絶対に人の手には勝てません。
壊れ物を扱うように丁寧に丁寧に筋肉をほぐしていくことで、その手には「気」が入り、手当ての効果は高まります。
強くガシガシ揉むのは、モノでの刺激に近づいてしまいます。
もちろん強い刺激が好きなお客様も少なからずいらっしゃるので、プロとして応えられるように強く揉める練習も必要です。
でも、それが本当にその筋肉にとって良い刺激なのかというと「?」です。
僕の経験上、良い状態の筋肉・柔らかい筋肉の持ち主で「強揉み」を好む人はいません。
強い圧をほしがる人は、固い筋肉の人です。
そして、強い圧を入れるから、余計に筋肉の感覚がマヒしてしまうのです。
本当に味覚と似ています。
ですが、同じ手技療法のプロでも、強い圧の方が施術効果が高いという考えのもと、
痛みを我慢させてまで強い圧を入れる方もいます。
その方が筋肉がほぐれるといいます。
本当でしょうか?
ある意味本当です。
僕は受ける側として痛すぎるくらいの「強揉み」をたくさん受けてきましたが、
確かに受け終わったあとは筋肉がゆるくなった感じがします。
それは何かというと、簡単に書くと「インスリンリバウド」と似たようなことが起こっているのです。
基本的に、強く揉むと、筋肉はこわばって緊張します。
緊張して緊張して、手技が終わった後に、緊張から開放されます。
緊張から開放された筋肉は、一気に緩むのです。
血糖値が高くなりすぎて、インスリンリバウンドによって急激に血糖値が下がる反応と似ています。
強く揉む手技によってほぐされたのではなく、強く揉まれて緊張した筋肉が「反動で」緩んだだけなのです。
こうやって筋肉が緩むと、結果、身体はだるくなります。
結果的に筋肉が緩んだので身体が軽くなった感じはするのですが、ぐったりする感じです。
ですが、ちょうど良い圧で丁寧に揉むと、
上に書いたように揉まれた部分が温かくなって、ふわぁっと軽くなった感じがするのです。
違いがよくわからないですか?(笑)
この感覚は受けてみないとわかりづらいかもしれません。
この「強く揉むと身体に良くない」というのは、あくまでも僕の価値観です。
人間の身体なので、正解も不正解もありません。
ただ、受けてもらえば納得してもらえる自信はあります。
ただ、間違いなく言えるのは、「中途半端な圧が一番たちが悪い」
どこを目指したいのがわからないのが、「中途半端な圧」です。
施術者がお客様に自分の価値観を押し付けすぎるのはよくないですが、
だからといってポリシーもないままお客様の要望に応えるだけというのも、
人様の身体を預かる身としては、責任感がなさすぎると思います←これも僕の価値観です。
セラピストにも十人十色の価値観があります。
そして僕は生徒さんにも自分の価値観を押し付けようという気持ちはありません。
生徒さん一人一人が自分なりの価値観を構築し、
その「想い」によって一人でも多くの人を幸せにしてほしいと願っています。
その価値観を構築する上でのヒントを提供できればと思っています。
ちょっとかっこつけた終わり方ですね(笑)
長い文章を読んでいただいてありがとうございます。
おやすみなさい。
僕はまだ体調が万全ではないくせに夜更かしして日本代表のサッカーを観ます♪
Posted by 照喜名 弘彦 at 00:34