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2017年01月05日

成長ホルモン~その4(筋トレ)

「成長ホルモンシリーズ」4記事目です。

この記事が一応成長ホルモンシリーズの締めになります。

が、この記事も含めた4記事は「基礎編」みたいなものなので、
そのうち深く掘り下げた「応用編」もシェアできればと思います。

過去記事は下記リンク先からご覧ください

◆成長ホルモン~その1
◆成長ホルモン~その2(メラトニン・セロトニン)
◆成長ホルモン~その3(下垂体ストレスの軽減)

この記事から読んで上の過去記事リンク先に飛ぶのが面倒の方のために、
これまでをまとめると。

・組織の修復のために成長ホルモンは大切な役割を担う

・組織を修復させるための職人が成長ホルモンで、組織の材料となるのがタンパク質

・成長ホルモンは全身の細胞の代謝を促進するため「若返りホルモン」とも呼ばれる

・成長ホルモンの分泌を促すためには「質の高い睡眠」と「下垂体ストレスの軽減」と「運動」が有効

・質の高い睡眠をとるためのひとつとして、メラトニン分泌を促すことが有効

・メラトニン分泌を促すためには、特に寝る前の目への光刺激を避けることや、松果体のコンディショニングが有効

・メラトニンの原料となるセロトニンを活性化させておくことも有効

・セロトニンの材料となるタンパク質(アミノ酸)もしっかり摂取したい

・成長ホルモンを分泌する下垂体のコンディションを調える

・下垂体のコンディションを調えるために蝶形骨を調える


のような感じでした。

今回は、運動です。

睡眠以外では筋トレが成長ホルモンの分泌を促すと言われています。

そこで、

・筋トレで成長ホルモンの分泌を促すメカニズム

・成長ホルモン分泌のために効率的な筋トレの方法


をなるべくシンプルに書きたいと思います。

これは運動生理学の分野で、
基本的なところだけでも講義形式で3時間くらいは欲しいような内容です。

ただその濃さでそのまま記事にすることは大変すぎるので、
今回はさらに基本的なことに絞って書きますね。

ただ筋トレをするだけよりも、
この記事で書くようなことを腑に落とした上で筋トレをした方が、
より効果が高まりやすいと思います。

専門家じゃなくても興味があれば理解できる内容に出来ればと思います。

筋トレの定義にもよりますが、
筋トレにも目的に応じていろいろな手段があり、
必ずしも成長ホルモン分泌を促すことだけを目的とするわけではありません。

が、
「成長ホルモンの分泌を促すための」って毎回前置きを書くのは大変なので、
この記事に限っては、
「成長ホルモンの分泌を促すための手段としての筋トレ」のことを「筋トレ」と書きますね。

まず、筋トレで成長ホルモンの分泌を促すきっかけとして、
乳酸が必要だと言われています。

そこで、筋トレで筋肉に乳酸が溜まるメカニズムから。

まず筋肉を動かすためのエネルギー代謝の種類として代表的なものに

・解糖系
・酸化系


の2つがあります。

他にもありますが端折ります。

解糖系とは糖を分解してエネルギーを発生させるもの。

酸化系とは脂肪を分解してエネルギーを発生させるもの。

です。

解糖系糖をエネルギーに変換するときは酸素が不要なので、
解糖系主体の運動のことを「無酸素運動」などと呼んだりします。

酸化系脂肪をエネルギーに変換するときには酸素が必要なので、
酸化系主体の運動のことを「有酸素運動」などと呼んだりします。

で、解糖系で糖をエネルギーに変換するときに出てくる代謝産物「乳酸」です。

乳酸を効率よく蓄積させることでより成長ホルモンの分泌を促すので、
それが、筋トレのポイントです。

言い方を変えると、
筋トレのポイントは筋肉の無酸素状態を保つことです。

筋肉の無酸素状態を保ちながら運動をすることで、
解糖系が働き、
糖代謝による代謝産物として乳酸が発生します。

筋肉の無酸素状態を保つためには、
筋肉に負荷がかかった状態を保つことが大事です。

筋肉に負荷がかかった状態が保たれると、
筋肉への血流が低下してきます。

酸素は血液によって運ばれてきます。

筋肉の血流が低下する→筋肉への酸素供給も低下する→無酸素状態

というようなことです。

無酸素状態になることで解糖系が働きやすくなり、
結果乳酸が効率的に蓄積され、
成長ホルモンドバドバという流れ
です。

ということで、筋肉に負荷がかかった状態を保つことが大事なのですが、
そのためには「途中で筋肉を休ませない」ことがポイントになります。

筋トレをしていると、
きつくなって途中で休んでしまいたくなることがあります。

が、途中で休んでしまうと、
筋肉を休ませる→筋弛緩→血流促進となってしまいます。

それだと筋トレの効果が落ちてしまうのです。

僕はライセンスを持っていないので具体的に書けないですが、
あえて血流制限をしてトレーニングを行う方法がありますよね。

あの有名なアレです。

なんでわざわざ血流制限をしてトレーニングをするのかというと、
こんな理由があったんですね。

ということで、筋トレのポイント1は、
「途中で筋肉を休ませない」
でした。

次に。

じゃあ1セットにつき何回くらいやればいいのか?

という話です。

実はこれ、回数よりも秒数の方が重要です。

成長ホルモン(乳酸)のことだけでいうと。

筋肉に乳酸を効率的に蓄積するには、
30秒から90秒くらい(長くて120秒くらい)で、
筋肉がパンパンになって動けなくなるくらいの負荷がいいと言われたりしています。

30秒から90秒の間をとって、60秒だとしましょう。

60秒間筋肉を休まずに動かし続けて、
筋肉がパンパンになって「もう動けまへん!」となるくらいの負荷です。

60秒だと1回の動きに6秒かけるとすると10回になるし、
1回の動きに10秒かけると6回になります。

60秒で燃え尽きる負荷って、結構きついですよ。

きつくて筋肉がパンパンになってきますが、
パンパンになってきたら乳酸が蓄積してきた証で、
それが成長ホルモンの分泌を促し、
そのおかげで若返ると思ってください。

そうすると筋肉パンパンが快感になってくるかもしれません(笑)

ということで、
筋トレのポイント2は、
60秒(30秒~90秒くらい)で燃え尽きる負荷設定。

でした。

で、
60秒で燃え尽きる負荷って結構強い負荷なのですが、
家にダンベルなどの筋肉に負荷をかける器具がない方も多いと思います。

が、大丈夫です。

器具なしでもしっかり負荷をかけられる方法があります。

それが「ゆっくり動くこと」

ちょっと前にスロートレーニングがブームになって、
本などもたくさん出版されてた時期がありましたね。

スロトレ。

途中で休まずにゆっくり60秒動き続けるんです。

やってみるとわかりますが、きっついです。

成長ホルモン~その4(筋トレ)

そしてさらにポイントを追加すると、
ゆっくり動くの中でも特に「戻る動き」ゆっくりにします。

筋トレって「メインの動き」「戻る動き」があるじゃないですか。

有名な腹筋運動(シットアップ)だと、
起き上がる動きがメインの動きで、
寝ていく動きが戻る動きですね。

腕立て伏せだと、
床を押す動きがメインの動きで、
床に沈んでいく動きが戻る動きです。

スクワットだと、
立ち上げる動きがメインで、
しゃがむ動きが戻る動きです。

なんとなく伝わりますかね。

そのトレーニングの主動作の逆の戻る動き、
その戻る動きを特にゆっくりやりたいんです。

するとさらに効果的なんですね。

筋肉の収縮様式には、
コンセントリック(短縮性・求心性)収縮・エキセントリック(伸張性・遠心性)収縮・アイソメトリック(等尺性)収縮などがあるのですが、
戻る動きの時はエキセントリック収縮がメインで使われるんですね。

で、そのエキセントリック収縮の時に、
特に速筋線維が刺激されやすいとも言われています。

速筋線維が刺激される→解糖系なので、
より効率よく乳酸を蓄積できるということなんですね。

メインの動き2秒・戻る動き4秒の6秒で1回を基本にして、
いろいろアレンジしてみてください。

メインの動きよりも戻る動きに倍以上の時間をかけると、
効率的です。

・・・伝わりましたでしょうか。

ポイントをまとめます。

1→セットの途中で筋肉を休ませない

2→1セット30秒~90秒くらいで燃え尽きるようにする

3→ゆっくり動く(特に戻る動き)



これが生理学的な筋トレのポイントです。

この3つを完璧に守らないと効果が出ないということではなく、
この3つを意識した方がより効率的だということです。

そして生理学的なポイントよりも、もっと大事なこと。

それは、動作の質です。

筋トレには種目によって、
特に効かせたい筋肉があります。

その効かせたい筋肉にしっかり効かせることが出来ているか。

それがとても大事。

もちろん見た目のフォームも大事ですが、
見た目よりも大事なのは、
どういう意識でカラダを動かしているか、
です。

facebookを観ていると、
トレーニングの動画がシェアされてきて、

「このトレーニングやってみよう!」

などと投稿されている方をよく目にします。

が、動画や画像などでトレーニングを見て、
見よう見まねで同じような動きをしているつもりでも、
そのトレーニングで効かせたい筋肉にしっかり効いていない、
結果トレーニング効果が充分に出ない、
となってしまうことも少なくありません。

シンプルなトレーニングでも、
しっかり質の高い動作で行うのは、
結構難しかったりします。

見よう見まねのトレーニングや自己流のトレーニングで望む結果が出ている方はそれでいいのですが、
そうじゃない方はしっかり専門家の指導を受けることをオススメします。

せっかくトレーニングを習慣化するのに、
間違えた方法でやってしまったらもったいないですし、
もったいないだけで済めばいいですが、
下手したら逆にカラダに悪影響を及ぼすこともあります。

この記事で紹介した3つの生理学的ポイントよりも、
質の高い動作が出来るという前提条件の方が大切
です。

筋トレには賛否両論ありますが、
質の高い動作で効果的な負荷をかけることが出来れば、
心身を若々しくエネルギッシュにしてくれるものです。

ということで長くなりましたが、
成長ホルモン分泌を促す筋トレの方法でした。

成長ホルモンシリーズはひとまずこれで終了です。

ではでは、ありがとうございました。


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Posted by 照喜名 弘彦 at 21:58